顎プロテーゼは老後にどうなる?リスクや対策を解説
- 丸山院長監修

「顎プロテーゼを入れたいけれど、老後はどうなるの?」
「骨が溶けるって聞いて不安……将来的に抜かないといけないの?」
顎プロテーゼはフェイスラインを整えられる施術ですが、長期間体内に異物を留置することに対して、老後の不安を抱く方は少なくありません。
適切に手術が行われていれば、顎プロテーゼを入れたまま老後を迎えても問題なく過ごせるケースが多数です。
しかし、生身の体は加齢とともに変化するため、知っておくべきリスクや注意点が存在します。
本記事では、顎プロテーゼの老後の実態や、将来後悔しないために今できる対策について詳しく解説します。
- 顎プロテーゼ自体は変質しにくい素材だが、周囲の骨や皮膚の加齢変化が見た目に影響することがある
- 老後のリスクとして、骨吸収・輪郭の浮き出し・位置ズレ・石灰化や拘縮が挙げられる
- 骨格に合ったプロテーゼの選択・骨膜下への正確な設置・将来を見据えたデザインが大切
- 老後に違和感が出た場合は、抜去・修正手術・顎骨切り術への切り替えなどの選択肢がある
- 将来の変化まで考慮したカウンセリングと施術を受けることが重要
丸山院長
顎プロテーゼの老後はどうなる?

顎プロテーゼを挿入してから数十年が経過したとき、体の中ではどのようなことが起きているのでしょうか。
ここでは、以下の2つの側面から解説します。
プロテーゼ自体の経年劣化について
顎プロテーゼに使用される医療用シリコンは、生体適合性が高く、変質や劣化が起きにくい素材です。
そのため、プロテーゼ自体がボロボロに崩れたり、溶けたりしてなくなる可能性は低いでしょう。
ただし、体内ではプロテーゼを包み込む「カプセル(被膜)」という組織が形成されます。
あまり多いケースではありませんが、このカプセルが厚くなったり、数十年単位で石灰化を起こして硬くなったりすることがあります。
顔立ちの変化による影響について
老後の見た目に影響を与える要素の1つが、周囲の組織の変化です。
私たちは加齢とともに、顎の骨が痩せ、皮膚や脂肪が下垂(たるみ)していきます。
若い頃に「理想のライン」としてデザインしたプロテーゼも、土台となる骨や皮膚が変化することで、相対的に位置がズレて見えたり、顎先だけが不自然に強調されて見えたりすることは考えられるでしょう。
丸山院長
顎プロテーゼ検討時に知っておくべき老後のリスク

顎プロテーゼには、医学的に指摘されているいくつかのリスクがあります。これらを正しく理解しておくことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩です。
骨吸収が起きる
顎プロテーゼを骨の上に留置し続けると、その接触面に持続的な圧力がかかり続けます。
この圧力によって、プロテーゼが接する部分の顎の骨が少しずつ吸収される現象を「骨吸収(こつきゅうしゅう)」と呼びます。
ある長期追跡研究では、対象患者の多くにX線上で骨吸収の所見が認められたものの、その程度は最大2mm程度にとどまり、自覚症状のある方はいなかったと報告されています。[注1]
一方、骨への圧力が高まるほど骨吸収が顕著になると考えられており、個人の骨格に合わない大きなプロテーゼの使用や、適切でない層への設置はそのリスクを高める要因になります。[注2]
[注1]Schielke F, et al. "Bone Resorption after Use of Silicone Chin Implants, Long-term Follow-up Study with Lateral Chin Radiography." JPRAS Open, 2018. PubMed PMID: 30175015
[注2] "Bone Changes With Silicone Chin Implants: Clinical Case, Review, and Considerations for Technique Modification." PRS Global Open, 2025. PubMed PMID: 39925480
プロテーゼの輪郭が浮き出る
加齢とともに皮膚や皮下脂肪は徐々に薄くなっていきます。
プロテーゼ自体は変化しないため、周囲の組織が薄くなった結果としてプロテーゼの境界線や輪郭が皮膚の外側から目立つようになることがあります。
これはすぐに起こる変化ではなく、長い年月をかけて少しずつ進行するため、本人でも気づきにくいケースがあります。
また、石灰化が起きていなくても、プロテーゼを包む被膜(カプセル)が経年とともに厚くなることで、プロテーゼの縁が浮いたように感じられることがあります。
骨格に合わない大きなプロテーゼを使用した場合は皮膚への圧力が高まり、皮膚が引き伸ばされて薄くなりやすいため、輪郭の浮き出しが生じるリスクはより高くなるでしょう。
丸山院長
位置がズレる
顎のまわりにはオトガイ筋などの筋肉が存在しており、日常的な表情や咀嚼の動作によって、プロテーゼに繰り返し力がかかり続けます。
この持続的な筋肉の動きや重力の影響によって、プロテーゼが本来の位置から上下・左右にずれることがあるとされています。
ズレは手術直後だけでなく、長い経過のなかで少しずつ進行するケースもある点に注意が必要です。
また、手術時の剥離(プロテーゼを収めるスペースの作り方)が適切でなかった場合にもズレが起きやすくなります。[注3]
プロテーゼが移動すると、フェイスラインの左右差が目立ったり、インプラントの角や縁が触ってわかるようになったりすることがあります。
丸山院長
カプセルの石灰化・拘縮が起こる
プロテーゼの周囲に形成されるカプセル(被膜)は、長い年月をかけてカルシウムが沈着し、石灰化によって硬くなることがあります。
石灰化が進むと、触れたときにプロテーゼ周囲が硬く感じられたり、皮膚の表面に凹凸が生じたりする可能性があります。
また、カプセルが徐々に収縮していく「拘縮(こうしゅく)」が起こることもあり、留意が必要です。
プロテーゼ自体は変化しなくても、それを包む組織が縮むことで顎の形が変化したり、笑った時などに皮膚が不自然に引きつれるような感覚が生じたりすることがあります。
石灰化や拘縮はいずれも短期間で現れるものではなく、長期にわたって少しずつ進行するとされています。
丸山院長
老後も美しい顎のラインを維持するためのポイント

「顎プロテーゼで後悔したくない」という方のために、ここでは手術を受ける際に必ずチェックすべき3つのポイントをお伝えします。
適切な形状を選択する
プロテーゼは、自分に合った適切な形状のものを選択することが大切です。
顎の骨格の大きさ・ライン・脂肪や筋肉の付き方は一人ひとり異なります。
そのため、既製品のプロテーゼをそのまま使用するのではなく、ご自身の骨格に合わせて精密に加工(カービング)したプロテーゼ、あるいはオーダーメイドのプロテーゼを選択することが望ましいでしょう。
骨格との密着度が高いほど接触面への圧力が分散されるため、骨吸収のリスクを抑えることにつながると考えられます。
反対に、骨格に合わないサイズや形状のプロテーゼを使用した場合、術後すぐには問題がなくても、加齢とともに輪郭の浮き出しやズレといったトラブルが起きやすくなる可能性があります。
また、「今の自分の顔に合う形」だけでなく、将来の加齢変化を見据えたサイズ・デザインの選択が大切です。
丸山院長
適切な層(骨膜下)へ固定する
プロテーゼを適切な層(骨膜下)へ固定することも大切です。
顎プロテーゼの挿入位置として推奨されているのが、骨の表面を覆う膜(骨膜)と骨の間の層である「骨膜下(こつまくか)」です。
骨膜下に設置することで、プロテーゼが骨膜によって固定された状態になります。
そのため、オトガイ筋などの筋肉の日常的な動きに左右されにくく、将来的な位置ズレのリスクを抑えることにつながるとされています。
これに対し、骨膜の外側(骨膜上)に設置された場合は固定が不安定になりやすく、ズレや左右非対称が生じる可能性が高まるため注意しなくてはいけません。
丸山院長
将来の顔立ちを見据えたデザインにする
顎プロテーゼの老後のリスクを抑えるためには、「今の自分の顔」だけでなく、10年・20年先の顔立ちの変化を考慮したうえでサイズやデザインを検討することが大切です。
加齢とともに、顔の皮膚・皮下脂肪・骨格は少しずつ変化していきます。
一方でプロテーゼ自体は変化しないため、周囲の組織が変化することで、若い頃に「理想的」と感じたデザインが、老後には不自然に見えてしまうケースがあります。
特に、現在の顔立ちにのみ合わせた高さや形状を選んだ場合、加齢による皮膚のたるみや脂肪の減少が進んだ際に、プロテーゼの輪郭が目立ちやすくなるかもしれません。
丸山院長
「老後にプロテーゼを抜きたい」と思った時の解決策

もし老後に違和感やリスクを感じて「抜去したい」と考えた場合、どのような選択肢があるのでしょうか。
ここでは、上記の各解決策について解説します。
抜去手術
顎プロテーゼの抜去手術は、挿入時と同様に口の中からアプローチするため、顔の表面に傷跡が残りにくいとされています。
施術時間は目安として20分程度とされており、30~45分程度かかる挿入手術と比べて比較的短時間で行える傾向があります。
ただし、長期間プロテーゼを留置していた場合は周囲の組織との癒着が生じていることがあり注意が必要です。
程度によっては抜去に時間がかかったり、抜去後に皮膚のたるみや顎のラインの変化が生じることもあります。
骨吸収が進んでいた場合には、抜去前よりも顎が後退して見えるケースもあるため、術前に医師と仕上がりのイメージをしっかり確認しておくことが大切です。
丸山院長
修正手術
「現在のプロテーゼには不満があるが、顎のラインは維持したい」という場合には、既存のプロテーゼを抜去したうえで別の形状・サイズのプロテーゼに入れ替える修正手術を検討できます。
また、プロテーゼを抜去した後に皮膚の余りや顎のラインに凹みが生じた場合は、脂肪注入などを併用して全体のバランスを整える方法も選択肢の一つです。
ただし、前回の手術によって周囲の組織に癒着や変化が生じているため、修正手術は初回の手術と比べて難易度が高くなる傾向があります。
複数回の手術歴がある場合や合併症を伴うケースでは、対応できる内容が限られることもあるため、事前に医師から十分な説明を受け、リスクや費用を理解したうえで判断することが大切です。
丸山院長
元々の施術を受けたクリニックへの相談が難しい場合でも、お気軽にご相談ください。
顎骨切り術への切り替え
「体内に異物を入れ続けることが不安」「プロテーゼを抜去した後も顎のラインを整えたい」という場合には、自分の骨を動かして顎の形を整える「顎骨切り術(オトガイ形成)」への切り替えも選択肢です。
ご自身の骨を利用するため、シリコン素材に対する異物反応などのリスクがなく、骨吸収を避けたい場合には魅力的だといえます。
ただし、顎骨切り術はプロテーゼ挿入と比べて侵襲が大きく、静脈麻酔または全身麻酔下での手術となります。
術後のダウンタイムはプロテーゼ挿入より長くなる傾向があり、腫れ・むくみ・内出血が数日から2週間程度続くことがあります。
また、神経麻痺・知覚異常・感染・血腫・咬合不全などのリスクも伴うため、術前に医師から十分な説明を受け、納得したうえで判断することが大切です。
丸山院長
顎プロテーゼは銀座マイアミ美容外科へ

顎プロテーゼをご検討中の方は、ぜひ銀座マイアミ美容外科へお気軽にご相談ください。
銀座マイアミ美容外科では、すべての患者様に対し、お顔の構造を熟知した熟練の医師が施術を行っています。
当院の顎形成は、現在の見た目を変化させるだけでなく、将来のエイジング変化まで計算したデザインをご提供可能です。
また、多くのケースで術前の歯列矯正なしでの施術が可能であり、歯科治療が必要な場合も提携の歯科医院をご紹介できます。
他院での修正や抜去のご相談も積極的に承っておりますので、一人で悩まずに当院のドクターへご相談ください。
丸山院長
顎プロテーゼに関するよくある質問

顎プロテーゼの老後について、患者様からよくいただく質問をまとめました。
手術を検討されている方や、すでに施術を受けた方はぜひご参考にしてみてください。
顎プロテーゼは一生もちますか?
顎プロテーゼに使用される医療用シリコンは非吸収性の素材であるため、素材自体は半永久的に形状を維持できるとされています。
骨格に合ったプロテーゼを適切に挿入した場合、基本的に入れ替えは不要とされるケースも多数です。
ただし、加齢とともに顎の骨格・皮膚・脂肪は少しずつ変化するため、プロテーゼ自体は変化しなくても、周囲の組織の変化によって見た目に影響が出ることがあります。
若い頃には自然に見えたデザインが、老後には不自然に感じられるケースもあるとされている点を理解しておくことが大切です。
丸山院長
老後に抜去したら元の顎に戻れますか?
顎プロテーゼを抜去した場合、基本的には抜去前の顎の状態に近づくとされています。
ただし、完全に元の顔に戻れないケースもある点は理解しておくことが大切です。
抜去後に変化が生じた場合には、脂肪注入などほかの美容医療を組み合わせて顎のラインを整える方法を検討するケースもあります。
丸山院長
高齢になってから手術・除去は可能ですか?
ご高齢になってからの抜去や修正についても、健康状態に問題がなければ対応できるケースがほとんどです。
年齢を理由に諦める前に、まずは医師にご相談いただくことをおすすめします。
ただし、高齢になるほど全身の健康状態や服用している薬の種類によって、手術や麻酔に際して配慮が必要になる場合があります。
術前の診察・検査で現在の状態をしっかり確認したうえで、対応できる内容や方法を医師と相談しながら決めていくことが大切です。
また、長期間プロテーゼを留置していた場合は周囲組織との癒着が生じていることもあり、抜去の難易度や術後の回復経過に個人差が出やすくなる点も念頭に置いておくとよいでしょう。
丸山院長
【まとめ】顎プロテーゼの老後のリスクを知って正しい選択を

本記事では、顎プロテーゼの老後の変化や知っておくべきリスク、将来後悔しないための対策について解説しました。
本記事のポイントは以下のとおりです。
- 医療用シリコン素材自体は変質しにくいが、周囲の組織の変化が老後の見た目に影響することがある
- 老後のリスクとして、骨吸収・プロテーゼの輪郭の浮き出しや位置のズレなどが挙げられる
- 骨格に合ったプロテーゼの選択や正確な設置、将来を見据えたデザインが大切
- 老後に違和感が出た場合には、抜去・修正手術・顎骨切り術への切り替えなどの選択肢がある
- 気になる変化があれば放置せず、早めに医療機関へ相談することが大切
顎プロテーゼの施術が適切に実施された場合には、老後も顎のラインを保てると考えられます。
老後の後悔を避けるためには、事前にポイントを整理して施術に臨むようにしましょう。
丸山院長
このコラムを監修したドクター

経歴
-
- 1978年
- 愛知県豊橋市生まれ
-
- 2004年
- 昭和大学医学部卒業
-
- 2004年
- 聖隷浜松病院 勤務
-
- 2007年
- 昭和大学形成外科学教室 入局
-
- 2013年
- 昭和大学藤が丘病院形成外科 講師
-
- 2014年
- 他院 大手美容外科 入職
-
- 2015年
- 同院 統括院長就任
-
- 2017年
- 銀座マイアミ美容外科 開院
-
- 2018年
- 医療法人社団形星会 理事長就任
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