アクアフィリングは10年後も残る?残存リスクと除去の必要性を解説
- 幸地先生監修

かつて「数年で吸収される安全な注入剤」と宣伝されて普及したアクアフィリング。
しかし、施術から一定の年月が経過して、「安全だと言われたのに、どうしてまだ残っているの?」「10年も経ってからトラブルが起きるなんて」と、戸惑いと不安を感じているのではないでしょうか。
アクアフィリングは時間の経過とともに組織に浸潤し、放置するほど将来的な健康リスクや除去の難易度が高まる恐れがあります。
本記事では、アクアフィリングが10年後も残り続ける理由や、長期経過によって現れる深刻なリスク・デメリットについて解説します。
幸地医師
- アクアフィリングは10年後も体内に残り続けやすく、放置するほど除去が困難になる
- 遅発性感染・注入剤の移動・しこり・乳腺組織の破壊など、10年で深刻化するリスクがある
- 妊娠・出産を控えている方には、特に早期の除去が推奨される
- 放置するほど除去手術の難度が高まり、発がん性への懸念が払拭されない状態が続く
- 国内外の複数の学会・規制機関が、アクアフィリングの乳房増大への使用を非推奨としている
アクアフィリングは10年後も体内に残りやすい

アクアフィリング(PAAG系充填剤)が普及した背景には、「大半が水分でできているため、数年で自然に吸収される」という説明がありました。
しかしすでに学術的には、アクアフィリングが体内に留まり続けるとされています。
ここでは、アクアフィリングの体内への残存について、以下の項目に整理して解説します。
ヒアルロン酸との違いと吸収されない理由
アクアフィリングと比較されやすい成分にヒアルロン酸が挙げられますが、両者は異なる性質を持っています。
ヒアルロン酸豊胸の場合、体内の酵素(ヒアルロニダーゼ)によって徐々に分解・吸収されますが、アクアフィリングの主成分である「ポリアクリルアミド」は体内で分解されません。[注1]
そのため、10年経過してもほとんど吸収されず、体内に残存してさまざまなトラブルを引き起こすケースがあります。
幸地医師
「生理食塩水で溶ける」は誤り
以前では「生理食塩水を注入すれば溶けて流せる」と説明されることもありましたが、現在では溶けないと指摘されています。
生理食塩水はアクアフィリングを「薄める」ことはできても、完全には除去できないことが報告されています。[注2]
むしろ、安易に生理食塩水を注入することで注入剤が周囲に拡散し、かえって除去を困難にさせたり、感染のリスクを高めたりする恐れがあります。
幸地医師
[注2]
Long-term Complications from Breast Augmentation by Injected Polyacrylamide Hydrogel (PMC, 2012)
アクアフィリング注入から10年後までに現れる可能性があるリスク

アクアフィリングを注入してから10年後まで除去しないままでいると、以下のようにさまざまなトラブルが現れる可能性があります。
ここでは、長期経過によって生じる恐れがある主なリスクについて解説します。
遅発性感染
アクアフィリングのリスクの一つが、注入から数年後、場合によっては10年以上経過してから突然発症することがある「遅発性感染」です。
注入剤そのものに抗菌作用はなく、長期感染を引き起こす可能性が指摘されています。[注3]
急激に胸が赤く腫れ上がり、激痛を伴う膿が溜まることがあります。
一度感染を起こすと、抗生剤だけでの鎮静化は難しく、外科的な処置が必要です。
幸地医師
注入剤の広範囲への移動
アクアフィリングは流動性が高く、組織の隙間を通って移動しやすい性質を持っています。
10年間にわたって重力や大胸筋の収縮にさらされることで、わき、背中、さらにはお腹の方まで薬剤が流れ出してしまうことがあります。
「胸が小さくなったと思ったら、わきが膨らんできた」など、さまざまな形で問題が発覚する可能性があるでしょう。
移動範囲が広がるほどすべてを取り除くことは困難になり、除去手術の傷跡も広範囲に及ぶリスクが高まります。
幸地医師
しこり・バストの硬化
アクアフィリングを注入してから長期間除去しないままで、注入剤の周囲で線維化が起きると、胸の感触が岩のように硬くなる「硬化」や、デコボコとした「しこり」が形成されます。
これにより、バストとしての柔らかな質感が失われるだけでなく、常に周囲から圧迫されるような不快感や痛みが生じる恐れもあります。
組織と一体化したしこりは、マッサージなどで消えることはなく、原則としては外科的な処置が必要です。
しこりが大きくなると周囲の組織への影響も大きくなってしまうため、バスト本来の柔らかさを保つにはできる限り早期に除去することが大切です。
幸地医師
妊娠・授乳への影響
これから妊娠・出産を考えている方にとって、長期間放置したアクアフィリングはリスクとなります。
授乳中の感染発生率は50%以上との報告もあり、局所・全身性の発熱、乳房腫脹、疼痛などの重篤な症状が生じるケースがあるのです。[注4]
重度の感染が起きれば、お子様への授乳を断念せざるを得ないだけでなく、自身の健康も深刻な危機にさらされます。
幸地医師
乳腺・脂肪組織の破壊
アクアフィリングが長期間組織に留まり、微弱な炎症を繰り返すことで、本来あるべき乳腺や脂肪組織が萎縮・消失してしまうケースが報告されています。
90症例を対象とした病理組織学的分析では、77.78%の症例で慢性炎症が確認され、また、20%でゲル周囲の乳腺組織に萎縮が認められたと報告されています。[注5]
年月をかけて徐々に自分の組織が異物によって侵食されてしまうため、除去した後に胸が極端に萎んだり、凹んだりする大きな原因となります。
また、大胸筋などの筋肉を傷つけることもあり、除去したとしても元の状態に完全に戻すことが難しくなる場合があります。
幸地医師
アクアフィリングを10年後まで放置するデメリット

アクアフィリングを注入後、「今はまだ症状がないから」と先延ばしにしていると、以下のようなデメリットがあります。
除去手術の難度が高まる
注入直後であれば、注入剤はまだ一箇所にまとまっており、組織への浸潤が進んでいないと思われるため、比較的スムーズに除去できる可能性が高いでしょう。
しかし、10年経過すると組織への浸潤が進み、薬剤が細かくなって乳腺や脂肪の網目に入り込む可能性が高まります。
さらに、周囲の組織が硬い線維(皮膜)として癒着するため、吸引だけでは取りきれず、ひとつひとつ丁寧に剥がしていく高度な技術が求められる恐れが高いでしょう。
放置するほど、手術時間や身体への負担、そしてコストも増加する傾向にあります。
幸地医師
発がん性への懸念が残る
アクアフィリングの主成分であるポリアクリルアミドは、その原料となる「アクリルアミド」モノマーに発がん性・神経毒性の懸念が指摘されています。[注6]
ポリアクリルアミド(重合体)そのものの発がん性は現時点で確定していませんが、国際がん研究機関(IARC)はアクリルアミドを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」物質(グループ2A)に分類しています。[注7]
懸念のある原料を持つ物質を10年、20年と体内に留め続けることで、どのような影響が生じるかは現時点では未解明の部分が残ります。
将来にわたる不確実なリスクを抱え続けることは、身体的な問題だけでなく、大きな精神的ストレスにもなり得ます。
幸地医師
[注7]アクリルアミド摂取量と食道がん・胃がん・大腸がんとの関連について:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト(多目的コホート研究)
アクアフィリングは除去が推奨されます

アクアフィリングや同種の注入剤に対し、日本形成外科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)・日本美容医療協会は共同声明を発表し、乳房への注入に対して否定的な立場を明確にしています。
米国FDAにおいても、乳房増大への使用は非推奨とされています。[注8]
銀座マイアミ美容外科においても、これまでの多くの症例経験から、アクアフィリングを「将来にわたって放置すべきではない異物」と捉え、早期の除去をおすすめしています。
しこりや感染、移動、組織の破壊、発がん性への懸念など、体内に留まり続けることによるリスクは複数ある一方で、放置してメリットがあることは基本的にないからです。
幸地医師
[注8]Dermal Fillers (Soft Tissue Fillers) | FDA
アクアフィリング除去は銀座マイアミ美容外科へご相談ください

アクアフィリング除去は、乳房の複雑な構造を熟知した高い技術や知識が求められる手術です。
銀座マイアミ美容外科には、大学病院や総合病院で乳房再建などの手術に携わってきた形成外科専門医(日本専門医機構認定)が所属しています。[注9]
- 高性能エコーによる術前診断
- 特殊器具を用いた吸引・洗浄
- 患者様の状態に合わせた術式の選択
- リスクを含めた誠実な説明
- 他院修正・難症例にも対応
- 女性医師による診察・治療も可能
10年以上が経過した症例や、他院で処置を受けた難症例にも対応しています。
処置を先送りにするほど組織へのダメージは蓄積し、除去の難易度も上がりますので、アクアフィリング注入を受けた経験がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
幸地医師
アクアフィリングについてよくある質問

ここでは、アクアフィリングの除去を検討される方から、特によくいただくご質問にお答えします。
10年以上前の施術で詳細が不明ですが、診察や除去は可能ですか?
はい、ご相談いただけます。
当時のクリニックが閉院していたり、カルテが残っていなかったりするケースは珍しくありません。
当院では高性能エコーを用いた術前診断によって、注入剤の分布・深さ・しこりの有無などを画像で確認します。
前の情報がない場合でも、まずは診察にお越しいただくことで現在の状態を把握し、除去の可否や方針についてご説明することが可能です。
一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
幸地医師
現在痛みなどの症状がない場合でも、すぐに除去すべきでしょうか?
結論から言えば、早期の除去をおすすめします。
アクアフィリングを長期間放置しておいたままだとさまざまなリスクがあり、症状が出てからでは組織の損傷が進み、除去後の仕上がりに悪影響を及ぼす恐れがあるためです。
できる限り症状が出る前に除去することが、結果として最も胸の形を綺麗に保ち、除去後の回復を速やかにするためには大切だといえます。
幸地医師
アクアフィリングの注入剤を除去する場合の術後のダウンタイムは?
個人差や除去量によって異なりますが、腫れや痛みなどの症状は術後1〜2週間程度で徐々に落ち着いていきます。
術後2〜3日で傷口に問題がなければ、全身シャワーも可能です。
当院では、術後は24時間対応の時間外連絡先をご案内しており、LINEやお電話でのご相談も可能です。
遠方にお住まいの方には、オンラインでの定期検診にも対応しています。
幸地医師
【まとめ】アクアフィリング注入の何年後でもお気軽にご相談を

今回は、アクアフィリングの注入の10年後までに発生する可能性があるリスクやデメリットなどについて詳しく解説してきました。
アクアフィリングを10年間放置すると、以下のようなリスクやデメリットが発生します。
- 遅発性感染(数年〜10年以上経過後に突然発症する感染・炎症)
- 注入剤の広範囲への移動(わき・腹部・背中への移動)
- しこり・バストの硬化(線維化による変形・不快感)
- 妊娠・授乳への影響(乳腺炎・授乳困難のリスク)
- 乳腺・脂肪組織の破壊(慢性炎症による組織の萎縮・消失)
- 除去手術の難度が上がり、完全除去が難しくなる
- 発がん性への懸念が払拭されない状態が続く
10年経っていても、20年経っていても、手遅れと諦めてしまうのではなく、まずは医師に相談することが大切です。
銀座マイアミ美容外科は、注入されたアクアフィリングの除去にも対応しています。
アクアフィリングの注入を受けた後不安な気持ちのままで過ごされている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
幸地医師
このコラムを監修したドクター

経歴
-
- 2011年
- 琉球大学 卒業
-
- 2012年
- 昭和大学藤が丘病院 初期臨床研修
-
- 2014年
- 昭和大学形成外科教室 入局
-
- 2015年
- 昭和大学病院形成外科 助教
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