産後の汗かきや臭いの原因とは?改善時期や治療する際のポイント
- コラム幸地先生監修
目次
「出産してから暑がりになった」「汗の臭いが気になってしまう」という悩みを持つ方は多いです。どうして産後は汗かき・暑がりになったり、臭いが気になったりしてしまうのでしょうか?
今回は産後の汗かきや臭いの原因、改善する目安の時期や治療する際のポイントを詳しく解説します。
産後の汗かきや汗の臭いは比較的短期間で改善することが多いです。長期的に改善しない場合の治療方法も紹介しますので、参考にしてみてください。
産後汗が止まらない…。汗かきになる原因とは
産後に汗の量がかなり増えたり、暑がりになったりして、「体調に問題があるのかな?」と不安になる方もいるかもしれません。妊娠から出産後まで体にさまざまな変化が起きますが、汗の量が増えるのもこの変化の一つです。
産後に汗をかきやすくなってしまうことを産褥期多汗(さんじょくきたかん)といいます。産褥期とは出産直後のことです。
産褥期は女性ホルモンの量が急激に減り、一時的に更年期のような状態となってしまいます。そのため、体が体温や汗腺機能をうまく調節することができず、これまでよりも暑いと感じやすくなったり、汗をかきやすくなったりしてしまうのです。更年期のようにほてりを感じる方もいるでしょう。
また、産褥期は女性ホルモンが減少するため、男性ホルモンが優位になってしまいます。男性ホルモンは発汗を促す効果を持っているため、汗の量が増えてしまうのです。
「普段はそうでもないのに、授乳時だけ暑い」「授乳中に汗が止まらない」という方もいるかもしれません。血液からできている母乳を赤ちゃんにあげると、血行がよくなります。その結果、体温が上がって汗をたくさんかいてしまう人も多いです。
産後に汗の臭いが気になるケースもある
産後に汗の量が増えるだけでなく、「汗の臭いが気になるようになった」という方もいるでしょう。「もしかしてわきがなの!?」と思うほど、これまでとは違う臭いを感じている方もいるかもしれません。
どうして産後は汗の臭いが気になるようになるのでしょうか。その原因を詳しく解説します。
1. 免疫力低下で雑菌が繁殖しやすくなっている
産後は育児による疲れがかなり溜まってしまい、睡眠不足になる人も多いため、免疫力が低下しやすい時期です。免疫力が低下すると、体のさまざまな部分で雑菌が繁殖しやすくなります。
産褥期多汗でかなり汗をかいてた状態で放置すると、さらに雑菌が繁殖しやすくなり、汗の臭いが気になるようになってしまうのです。特にワキは汗をかきやすい上に蒸れやすい場所なので、ワキ汗の臭いが気になるようになる人が多くいます。
2. 乳腺とともにアポクリン汗腺が刺激される
赤ちゃんに授乳すると、アポクリン汗腺も刺激されます。これは母乳が出る乳腺が、元々はアポクリン汗腺から派生してできたものといわれているからです。
そしてアポクリン汗腺から出る汗には臭いがあります。汗が出る汗腺はアポクリン汗腺とエクリン汗腺があり、エクリン汗腺から出る汗には臭いがありません。しかし、アポクリン汗腺から出る汗は、脂質やタンパク質など臭いの原因となる成分を含んでいるため、アポクリン汗腺が刺激されて汗が出ると臭いを感じやすくなってしまうのです。
3. 暴飲暴食をしてしまっている
産後に暴飲暴食をしてはいないでしょうか。妊娠や出産を経て食事の好みが大きく変わるため、産後に暴飲暴食をしてしまう人は多いです。まだ授乳中だとしても、妊娠中ほどの食事を気にする必要がなくなるため、いつも以上に食べてしまっているという方もいるでしょう。
特に乳製品やタンパク質を過剰に摂ってしまうと、臭いのある汗が出るアポクリン汗腺が刺激されて、汗の臭いが強くなってしまいます。
産後の多汗症や臭いは短期間で改善しやすい
産後に汗の量がかなり増えたり、臭いが気になったりして「このまま治らないのかな」と不安になっている方もいるかもしれません。しかし、これは一時的なもので、ほとんどの人は時間が経つと自然と汗の量や臭いが改善します。
汗を多くかいてしまう原因はホルモンバランスの変化です。大抵は卒乳から1〜3カ月で正常なホルモンバランスに戻るといわれているため、その頃には汗の量が改善されるでしょう。また、卒乳して乳腺とアポクリン汗腺への刺激がなくなれば、気になる臭いも改善していきます。
ホルモンバランスが正常に戻る時期は、個人差が大きいです。また変化が目に見えるわけではないので、なかなか汗の量や臭いが改善しないと、不安になってしまうかもしれません。
ホルモンバランスが変化する目安の一つに月経があります。月経が再開し、周期も安定しているのであれば、ホルモンバランスが正常に戻ってきているということです。
ただ、汗の臭いに関しては育児疲れによる免疫力低下や暴飲暴食が原因の場合もあります。育児をしているとなかなか自分の時間が取れず、疲れが溜まってしまいがちです。休めるときにはしっかり休み、バランスのいい食事を心がけましょう。
産後の多汗症や臭いを治療する際のポイント
自然に治るケースがほとんどといっても、多量の汗や気になる臭いで「多汗症の治療をしたほうが良いのでは?」と考える人も多いでしょう。
ただし、産後の多汗症や臭いが改善されず治療を希望する際は、以下の3点に注意すべきです。
1. 赤ちゃんへの影響を考え授乳期間は治療を避ける
もともと妊娠前から多汗症の傾向にあった方でも、授乳期間は多汗症の治療は避けましょう。授乳中に医療機関に相談しても、多汗症の治療は断られてしまうことがほとんどです。
多汗症治療は妊娠・授乳をしていない人を対象とした治療で、麻酔や薬剤を使うこともあるため、授乳中に治療をすると赤ちゃんへの影響が懸念されます。どうしても多汗症の治療をしたいという場合は、まず断乳をしなくてはなりません。なお、治療に際して、授乳中であることを隠すのは絶対にやめましょう。
また妊娠中に産褥期多汗のことを知って、「多汗症の治療をしておくべきかな」と考えている方もいるかもしれません。しかし、妊娠中も、多汗症の治療は赤ちゃんに影響する可能性があります。妊娠中は多汗症の治療を避けましょう。
2. 生活習慣の見直しを行う
汗の量が増えてしまうのは、産後のホルモンバランスの変化が影響しています。そのため、自力で汗の量を改善するのはなかなか難しいです。ただ、汗の臭いに関しては、生活習慣が大きく影響してきます。
育児中にしっかり休むことは難しいかもしれませんが、できるだけ体を休めて免疫力アップを目指しましょう。
また、「汗の臭いが気になる」と気にしてばかりいたら、それ自体がストレスになってしまいます。ストレスで発汗が促されてしまうこともあるため、考えすぎることによって、さらに汗が増えたり臭いが気になったりするかもしれません。気になるのは仕方がないことですが、過剰に気にせず、ケアをしながらストレスを軽減しましょう。
また、食生活の見直しも重要です。乳製品や肉類が中心の食生活は、汗の臭いの原因となってしまいます。野菜を多く摂るようにし、バランスのいい食生活を心がけましょう。汗の臭いの改善には、ジャンクフードなど油が多い食事も避けることをおすすめします。
3. 治るケースが多いので卒乳後3カ月程度様子を見る
ここまで紹介した通り、卒乳や産後のホルモンバランスの正常化によって、産後の汗の量や臭いは改善されていきます。ほとんどの場合一時的なものですから、卒乳後3カ月程度は様子を見て治療を検討しましょう。
産後の汗の変化は誰にでも起こりうることです。そのため、医療機関に相談しても「少し様子を見てください」といわれることが多いでしょう。
多汗症や汗の臭いに効果がある治療
産後の多汗症や臭いは自然と改善されることが多いですが、なかには授乳中にアポクリン汗腺が発達し、卒乳後もそのまま定着してしまうケースがあります。その場合は、以下の治療を検討してみてください。
1. ボトックス
注射だけで多汗症や臭いの治療ができ、ダウンタイムがほとんどありません。激しい運動やサウナなど、血行がよくなることだけは3日程度避ける必要があります。効果が現れてから、4〜6カ月程度効果が持続します。
2. ビューホット
汗腺がある箇所に細い針を刺し、高周波であるラジオ波を照射して汗腺を焼きます。皮膚の表面を冷却しながらラジオ波を照射できるのでヤケドのリスクが最小限となります。施術箇所にかさぶたができることがありますが、1週間程度で改善します。効果は多くの場合、半永久的です。
3. 超音波汗腺除去手術
ワキガ治療の中で効果が高い治療の一つです。超音波の振動によって汗腺を破壊し、吸引することで破壊した組織を取り除きます。血管や神経組織などへのダメージを最小限に抑えた治療法です。圧迫期間が3日以内、抜糸が7〜10日後で、術後2週間程度は気をつけて生活しなければならないものの、効果はほぼ永久的に持続します。
産後なかなか治らない多汗症や臭いならご相談ください
卒乳してもなかなか多汗症や汗の臭いが改善されないのであれば、美容外科などの専門家に相談してみるのもおすすめです。多汗症や臭いの治療はさまざまな方法がありますが、最適な方法を提案してくれます。
東京・銀座にあるマイアミ美容外科では、多汗症やワキガ治療を行なっています。治療の必要性を判断し、必要な場合は最適な治療法をご提案しますので、産後に汗のことでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
産後に汗をかきやすくなることを産褥期多汗といいます。原因は、産褥期に女性ホルモンが減少し、男性ホルモンが優位になることです。
また、免疫力低下や授乳によるアポクリン汗腺の刺激、暴飲暴食などが原因で汗の臭いが気になる人も少なくありません。
なお、授乳中は多汗症の治療にあまり適していないため、卒乳後3カ月くらいまで様子を見ることをおすすめします。まずは、生活習慣の見直しから始めるとよいでしょう。
卒乳後しばらくしても汗の多さや臭いが気になるときは、美容外科に相談し、ボトックスやビューホット、超音波汗腺除去手術などを検討するのも一つの方法です。
このコラムを監修したドクター
経歴
-
- 2011年
- 琉球大学 卒業
-
- 2012年
- 昭和大学藤が丘病院 初期臨床研修
-
- 2014年
- 昭和大学形成外科教室 入局
-
- 2015年
- 昭和大学病院形成外科 助教
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