わきが手術は1回で良くなるの?何回か通わないといけないのかどうか
- コラム丸山院長監修
目次
わきが手術を検討していると、「わきが手術は1回でよくなるの?」「何回も通わないといけないの?」といった疑問が湧いてくるのではないでしょうか。通院の手間や費用・身体の負担などを考えると、一度で済むかそうでないかは決して小さくない問題です。 ここでは、そんな疑問にお答えするため、わきが手術の通院回数やメリット・デメリットについてご紹介します。手術を受ける前に確かめておきましょう。
わきが手術「剪除法」なら1回で永続的な効果が得られる
「剪除法」と呼ばれるわきが手術では、両脇が対象となったとしても、1回の手術で治療できます。
「剪除法」は、わきがの要因となっている部分を根こそぎ切除することになるため、わきがが再発する可能性を低くしてくれます。さらに、うまく切除することができれば再発することはないため、永続的な効果が得られます。
手術は1回で済むうえ、1時間ほどで完了となります。短い時間で対処が可能となっているため、身体に対する負担も最小限にすることが可能です。ただ、わきが手術には手術準備や最終的な身体チェックなど、さまざまな手順を踏まないといけないため、総時間はもう少し多くはなります。
準備や経過観察のため病院自体には何回か通う必要がある
「何回か通わないといけないのかどうか」という疑問に対しては、「少なくとも複数回は通わないといけない」という回答になります。身体にメスを入れるため、色々な手順を踏む必要があり、そのためにどうしても通院はしないといけません。
また、手術後も経過観察をするため、医師の診察を受けに行ったり抜糸を行ったりする必要があります。
一例として、以下に具体的な通院回数と内容を挙げますので、参考にしてみてください。
*1回目:医師へ相談・カウセリング・手術予定日の決定
*2回目:手術前検査(カウンセリングと同日に済ますこともできます。)
*3回目:手術
*4回目:手術1週間後の検診
*5回目:手術1ヶ月後の検診
おおまかにはこのようなイメージとなります。
注意したい点は、手術をしてくれる病院によって、通院回数は異なるということです。たとえば、1回目の通院(初診)のとき、一気に手術前検査を行ってしまう病院もあります。また、手術後の検診をもっと小まめに行う病院もあり、通院回数が増えることもあるでしょう。
ともあれ、剪除法では病院へは何度か通う必要があることをご理解いただければと思います。
わきが手術のメリットが手術にかかる労力やデメリットに見合うか判断する
ここまでみてきたとおり、わきが手術は1回の手術で完了しますが、何回か通院はしないといけません。手術を受けるか迷っている方は、そのメリットが、手術にかかる労力やデメリットに見合うかどうかを考えてみましょう。
剪除法のメリット
剪除法のメリットには一般的に次のようなものが挙げられます。
*保険診療が可能で安価に治療ができる
*臭いの除去効果が大きい
「剪除法」でのわきが手術は保険適用のため、かなり費用を抑えて治療をすることができます。また、永続的な効果も得られるため、ランニングコストも不要です。結果、他のわきが治療と比較すれば、かなり安価に対策することができます。
先にもご説明したとおり、わきがの要因となっている部分を根本から切除するため、臭いの除去効果が大きいというのもメリット。すべての臭いを根こそぎ取り除けるわけではありませんが、わきがの嫌な臭いはほぼ除去できます。
わきが手術のデメリット
わきがの手術はメリットばかりではなく、たとえば次のようなデメリットがあります。
*傷跡が残り「元わきが」とバレてしまう可能性がある
*術後のケアが1週間ほど必要
身体にメスを入れるわきが手術では、どうしても脇に傷が残ってしまいます。結果、水着や薄着になったときに傷が見え、「わきがだったんだな」とバレてしまったり、嫌な思いをしたりする可能性もないとは言い切れません。ただ、昨今は手術の技術も発達しているため、傷が目立たなくはなってきています。形成手術などでさらに目立たなくさせることも可能です。どうしても気になる場合は医師に相談するとよいでしょう。
また、手術後2、3日は安静にし、1週間程度患部を圧迫固定しないといけないということもデメリットのひとつ。仕事の内容によっては、まとまった休みを取らないといけないケースもあります。当然、簡単には休みが取れないということで、手術に踏み切れないという人もいるぐらいです。手術自体は1時間程度ですが、本当の意味での完了は1週間程度を見ておかないといけません。
わきが手術や通院回数で気になることがあれば病院で相談してみる
わきが手術自体は今まで多くの人が行っており、実績のあるものです。しかし、いざ自分が行うとなると、色々と不安になってしまうことは当然のことです。仕事をどれだけ休まないといけないかなど切実な問題があると思います。当院では、なるべく、通院回数を減らす工夫をしています。通院回数は、手術合併症の確率が低くなれば、少なくなります。合併症を減らす工夫を以下に説明します。
当院では、わきが多汗症治療に対して、剪除法も行なっていますが、キューサーという特殊な超音波メスを使用して行うことが可能です。キューサーという超音波メスは、もともと肝臓を切除する道具でした。血管や神経を傷つけることなく、肝臓の組織を切除するための道具です。
当院では、このキューサー(商品名ソノペット)をワキガ多汗症手術に応用しています。超音波メスで剪除法を行うことで、大切な血管や神経を傷つけることなく、汗腺だけを根こそぎ除去できます。通常の剪除法に比べて圧倒的に出血が少ないので、血が溜まってしまったり(血腫)、手術後に皮膚が死んでしまったり(壊死)するリスクが低いです。
圧迫固定も通常の剪除法にくらべて厳密なものではなく日常生活の制限も少ないです。保険診療ではありませんが、保険診療の剪除法と比較するとダウンタイムが短く合併症も少ないです。傷跡も1.5cmほどですので、元ワキガと思われるリスクも通常の剪除法に比較して低いと思います。キューサー法は、私が以前医局長を務めていた昭和大学藤が丘病院形成外科で開発されました。論文や教科書でも発表されており、根拠に基づいた方法として確立されている点も安心です。
まとめ
わきが手術を受けるか考えていると、わきが手術は1回でよくなるのか、何度か通院が必要なのかなど、いろいろな疑問が出てくるもの。今回は、わきが手術の通院回数や、わきが手術のメリット・デメリットについてご紹介します。保険適用が認められているわきが手術「剪除法」であれば、手術は1回で済みます。ですが、事前の検査や経過観察のため、病院には何度か通わなければなりません。手術を受ける前に確認しておきましょう。
このコラムの共同監修者
千葉船橋 痛みと多汗症クリニック 院長
浮田 慎 Makoto Ukita
日本専門医機構認定 麻酔科専門医 / 日本麻酔科学会指導医 /
心臓血管麻酔専門医 / 周術期経食道心エコー認定医 /
米国経食道心エコー認定医 / 脈管専門医 / 下肢静脈瘤血管内レーザー実施医
経歴
昭和大学医学部を卒業。その後、昭和大学横浜市北部病院にて初期研修修了、けいゆう病院麻酔科後期研修修了。国立成育医療センターにて小児麻酔の研鑽を積む。千葉西総合病院麻酔科部長に就任。塩谷ペインクリニック大塚康久院長を師事し、痛み治療を学ぶ。全国各地のETS施行施設を訪ね、術式・切除部位の違い・その効果を精査。湘南厚木病院 多汗症専門外来を立ち上げる。順天堂大学医学部付属浦安病院 ペインクリニックにて透視下ブロック専門外来を継続中。千葉船橋 痛みと多汗症クリニックを開院。
このコラムを監修したドクター
経歴
-
- 1978年
- 愛知県豊橋市生まれ
-
- 2004年
- 昭和大学医学部卒業
-
- 2004年
- 聖隷浜松病院 勤務
-
- 2007年
- 昭和大学形成外科学教室 入局
-
- 2013年
- 昭和大学藤が丘病院形成外科 講師
-
- 2014年
- 他院 大手美容外科 入職
-
- 2015年
- 同院 統括院長就任
-
- 2017年
- 銀座マイアミ美容外科 開院
-
- 2018年
- 医療法人社団形星会 理事長就任
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