【女性編】陰部にブツブツができたときの対処法2つのポイント
- コラム幸地先生監修
目次
陰部にブツブツがあると、病院に行くべきか迷ってしまいます。しかしデリケートな部分のため、なかなか受診のタイミングが取れないのが現状です。陰部のブツブツの原因や対処法を知って、受診すべきか判断してみましょう。
陰部のブツブツの正体とは?4つの原因を解説
陰部にブツブツができた場合は、いくつかの原因が考えられます。自分で見分けるには、痛みがあるか?ないのか?を目安にします。
1. 痛みを感じる性器ヘルペス
性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスの感染で発症します。パートナーがヘルペスウイルス保有者だと、セックスにより感染する場合もあります。感染してから3~7日くらいで、陰部に水泡ができ、つぶれると強い痛みを感じるのが特徴です。とくに初感染だと症状が強くなりやすく、座ったときやオシッコをするときに強い痛みを感じた場合、性器ヘルペスの可能性があります。
性器ヘルペスは抗ウイルス剤で対処できますが、ウイルスは潜伏し疲れたときや免疫が下がったときに再発するといわれています。2回目以降は症状が少なく、軽い痛みやかゆみ程度になるでしょう。
2. デリケートゾーンのニキビの一種である毛嚢炎
毛嚢炎は、ニキビと同じような毛穴の炎症です。陰部では陰毛が生えている部分に多く発症し、原因は毛穴に入り込んだ細菌よるもの。炎症がひどくなると、皮膚が赤くなり痛みを感じます。毛がある部分や下着で擦れる箇所にブツブツがあるなら、毛嚢炎を疑いましょう。
3. 無症状の場合は尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスの感染で発症します。性器ヘルペスと同様に性感染症のひとつです。尖圭コンジローマは陰部にブツブツができますが、ほとんど症状がありません。症状がある場合も、軽いかゆみや痛み程度です。ブツブツは1つだけのこともあれば、複数できてカリフラワー状になることもあります。発症する部位は、子宮頚部・陰部・尿道・肛門・腟などです。
4. 痛みがなくリンパ節のしこりがある梅毒
梅毒は、トレポネーマ・パリダムの感染によって起こる性感染症です。感染したばかりの1期梅毒では、数週間ほどでしこりや潰瘍ができます。痛みもかゆみもないため放置しやすく、自覚がなければパートナーに移す可能性があります。陰部のブツブツだけでなく、太ももの付け根にあるリンパ節が腫れた場合は、梅毒を疑いましょう。さらに2期になると、菌が全身に広がり手のひらにブツブツができます。治療をしなければ梅毒は潜伏期に入り、症状がなく数年~数十年を経るため注意しましょう。
陰部にブツブツができたときの2つの対処法
陰部にブツブツができたら、数日間放置して様子を見て、それでも改善しなければ病院の受診をおすすめします。しかし放置してよいのは1種類だけですから、それぞれの対処方法をしっかり確認しておきましょう。
1. 患部を清潔にして様子を見る
陰部のブツブツが毛嚢炎だった場合は、様子を見ても問題ありません。ニキビと同じで細菌による炎症が起きているだけのため、患部を清潔に保つことが最優先です。顔のニキビが放置しても治るように、陰部の毛嚢炎も炎症がひどくなければ放置で治る場合があります。ただし炎症がひどく化膿している場合は、婦人科で薬を処方してもらってください。
2. 美容外科での診察がおすすめ
陰部のブツブツが性感染症の可能性があるときは、病院を受診しなければいけません。受診する場所は婦人科です。
ウイルスや菌が感染した場合は、パートナーも一緒に治療しましょう。婦人科で病気が原因ではないといわれた場合は、美容外科の受診も考えてみてください。陰部のブツブツで悩んでいる方のなかには、皮膚のしわや処女膜跡を病気だと勘違いしていることがあります。美容外科ならレーザーを使って粘膜の引き締めができます。
陰部の病気を防ぐために大切なこと
毛嚢炎を何度も繰り返している方は、陰部のお手入れ方法を見直してください。清潔に保つのが一番ですが、やりすぎで逆効果になってしまうこともあります。
洗いすぎないようにする
腟内は常に酸性に保たれ、菌の繁殖を防ぐ自浄作用があります。しかし石鹸で洗いすぎると、腟内の常在菌が洗い流されて、菌の増殖を防げません。陰部を洗うときはぬるま湯を使うだけにして、石鹸やボディソープは使わないようにしましょう。
デリケートゾーンまわりに剃刀を使わない
毛嚢炎になる原因のひとつが、剃刀による皮膚トラブルです。剃刀を使って陰毛を処理すると、肌に見えない傷が付き、細菌が入り込みます。
通気性のよい下着を選ぶ
下着の蒸れも毛嚢炎の原因となるため、通気性のよい下着を選びましょう。綿素材の下着は通気性が高くおすすめです。ガードルの着用や、ぴったりしたパンツを履くのも陰部の通気性を考えるとよくありません。
まとめ
同じ陰部のブツブツといっても、全てのケースが病気ではありません。デリケートゾーンの蒸れや洗いすぎなどが原因の場合もあるため、正しいお手入れ方法を見直してみてください。また強い痛みやかゆみがある場合は、放置せず医師の診断を受けるようにしましょう。
このコラムの共同監修者
林産婦人科 院長
林 昌貴 Masaki Hayashi
医学博士 / 日本産科婦人科学会専門医 /
母体保護法指定医
経歴
平成16年に昭和大学医学部医学科卒業。平成20年に同大学院医学研究科修了。大学在学中、米国Tulane大学医学部に留学。国立病院機構災害医療センターで2年間の初期臨床研修後、昭和大学産婦人科学教室に入局。昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、水戸赤十字病院、秦野赤十字病院、東條ウィメンズホスピタルでの勤務を経て、現在は林産婦人科の院長を務める。
このコラムを監修したドクター
経歴
-
- 2011年
- 琉球大学 卒業
-
- 2012年
- 昭和大学藤が丘病院 初期臨床研修
-
- 2014年
- 昭和大学形成外科教室 入局
-
- 2015年
- 昭和大学病院形成外科 助教
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